海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

枯れ尾花

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体」を読んだ。インテリに対する攻撃喧しい巷間、インテリの端くれたらんとする私としては、敵を知らねば進むまい、と読んでみたわけ。そしたらば、私の持ってるイメージとは違って、反知性主義が必ずしも悪いものではないように書かれていて拍子抜け。むしろ本書でその言葉が示すものは反権威主義といったほうが正しそう。ただ反権威ってのは姿勢であって、それはいわゆる反知性主義の一側面に過ぎないんじゃないかと。反知性主義には無根拠性というもう一つの重要な特徴があって、厄介なのはこっち。で、アメリカのことを扱うこの本ではその無根拠性を信仰と関連づけることで美しく処理しちゃっているのが気になるところではある。いや、でもこの本はめっぽう面白かったのです。この本の本質はアメリカのキリスト教史で、浅学な私の中世ヨーロッパ風なキリスト教イメージと全く違う世界がそこにあったのね、という。日本でも戦国時代のキリスト教受容期には土俗化による変質があったとのことだけれど、他の国でもそういうのあるのね、という。そう言われてみるとハリウッド映画のあのシーンこのシーンってそういう意味だったのか!と思い当たる点多数という。実際この本の中でも映画をネタにしている部分がたくさんあったわけで。とか思っていると、今日こんな記事(アメリカを動かす「反知性主義」の正体 森本あんり・国際基督教大学)を見つけて、こっちも面白かった。皆さんも読むとよろし。

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)

反知性主義: アメリカが生んだ「熱病」の正体 (新潮選書)