海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

脱消費者

仕事の帰りに京都シネマ。「リアリティ」。ケチらずにA4の封筒で送りましょう、という話。トランプ時代に正義感から機密情報を流出させた人にFBIが初めてコンタクトして尋問したときの音声記録をそのまま映画として再現している作品で、異様な緊迫感が全編続く。本作は会話劇(というか劇じゃないのだが)であって、ドラマチックな展開はどこにもないのだけど、俳優が演じている再現シーンに、ときどき本物の音声記録と思しき音が混じってきたりして、そうなると例えばペットのイヌに関するようなたわいない言葉のやりとりが腹の探り合いに聞こえてきて、目が離せなくなって最後まで持っていかれる。で、現実に起こったわずか3時間ほどの話なので、なぜ主人公は流出させたのか?とかの疑問への答えはほとんど与えられないまま話が終わるのであるが、おそらくはそういうことを描く作品ではないのであろう。大変面白かった。終わって、ふと横を見るとギャラリーで「はみだす。とびこえる。絵本編集者 筒井大介の仕事」というのをやっている。そうだそうだ。先週ミシマ社におコメ届けた時に、12月刊の「ゆきのゆきちゃん」という絵本をもらって、その編集をした筒井さんの展覧会があるので見てね、と言われてたのである。ここかあ、と思って見に入る。絵本とは縁がなくなって久しい私であるが、ウチの子が小さい時はよく読んでたのよね。で、これまでそんな風に考えたこともなかったのだけど、その絵本にも当然編集はいるわけで、展覧会を見ていると、例えば裏表紙のISBNコードのフォントにまで指定をしていたりすることがわかって、そうかそうかそういうところにも気を配って絵本というのは作られているのだなあ、と、生まれて初めて作り手の視点から絵本というものを理解する機会を得られてこちらも大変面白かった。ということで、京都で仕事をしている冥利に尽きる文化的な1日だったのである。