海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

自然教育における動画の活用

今日は本番。幸いな事に上手にしゃべる事が出来た。こんなときは、こちらの一挙手一投足が聞き手に響いていくのが壇上で感じ取られて、もう大変に気持ちが良い。そして今日もDVDは大量にさばけて昨日と合わせて320枚ほどを配布した事に。こんな豪気な事が出来るのも、ひとえに科研費のおかげでありんす。あ、しかし、中にはパソコンで見る物だという事を把握しておらずにDVD Playerに突っ込む人もいるかもしれない。もう少し使い方について講演の中できっちり説明しておくべきであったと帰りの新幹線の中で気がついても時既に遅し。

それはともかく、自然教育における動画の活用というと、視覚に訴える教材作りとそれを使った事前教育が真っ先に思い浮かぶところであるが、今回は「生き物の振る舞いを動画に収める事を課題として設定すると、その課題を達成しようとする中で、自然に深いレベルの観察を熱心に行う事になる」という話をした。

私はこういう、ある型の中に真の意図が隠されていて、その型をとる事で知らず知らずのうちに何かが出来るようになってしまうという、トロイの木馬的手法がこよなく好きである。他の例で言うとスキーがある。スキーでは、普通斜面を斜めに横切っていくのであるが、そのとき下半身は進行方向を向いている。一方、上半身は斜面の下方向を向いていないと次に上手くターンできないので、上半身と下半身は多くの時間ひねりの関係にあることになる。そこで「腰のところでひねるんだよ」と教えたとしても、普通の生活でそういう姿勢はあまり取らないために、なかなかうまく実行できない事が多い。ところが「斜面の上側にある脚を半歩前に出してみなさい」というと、それなら簡単にできるのである。で、実はそれをすると自然に上半身と下半身の間にひねりが生まれて、上手に滑れるという。

まあ、それはともかく、学校の現場では分布調査や生物相調査をてこにした自然教育がよく行われており、今日も実践の話を聞く事が出来たのだけれど、行動観察も、それに並ぶ柱になっていけばよいなと思いました。

あと、ちょっと面白かったのは質疑応答の中で「小学校くらいだと分布調査などのイベントをやれば面白がる子供はたくさんいるのだけど、そのような生き物好きの小学生も中学生になって運動部に入るようになると、生き物に関係するような事どもを軟弱とみなして遠ざけるようになる」という話があった。なるほど中学生といえばモテが全てを支配する原理になるわけで、(男の子に関して言えば)その年ごろのモテはほとんど、フィジカル面が強いということと同義であるのだから、運動部で活躍するのがもてはやされ生物の事を忘れてしまうのは当然だ、と目から鱗が落ちる。いや、私のように卓球部所属で運動部だけどモテとは無縁な人もいたわけだけど。それはともかく、昔から、男の子はみんなあんなに虫好きなのに、大人になると忘れてしまうのはなぜだろう?と不思議だったのだけど、生物学的基盤があるのなら抗えんなあ、なんて与太を、シンポジウムが終わってU丸さんY田さんとお昼を食べながら喋っていたのでありました。あ、ついでに言うと、実は一つだけ運動部に対抗できるモテ原理があって、それは歌であるという話になった。バンドをやれば力強くなくてもモテるあるよ。つまり、生き物好きの中抜け(中高時代に生き物の事を忘れてしまう事)を防ぐという意味で、本川達雄は正しいということになるのである(ウソ)

で、帰りの新幹線の中で本当にiTunesMusicStoreが開始されたというニュースに触れる。待ちわびたよー。早速帰ってきて、U2「Sunday Bloody Sunday」Little River Band「The Night Owls」Kylie Minogue「Love at First Sight」を買う。支離滅裂なのは責めないでくれたまえ。とにかく、三曲買ってみて思うが、これは危険だ。次から次から買いたくなる。幸いまだアーティスト名だけ挙がっていて買えるものが一曲も無いというのが多いから良いようなものの、品ぞろえが充実してきたら、一曲150円といえども散財必至だ。レコード会社の諸氏よ、安心せよ。これは売り上げ上がるよきっと。