海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

古典的な搾取の問題でしょ

kensuke_nakata2006-01-03

最近豪邸を建てたT須先生宅を訪問。広いリビングに圧倒される。一昨日ボーネルンドで買ったおもちゃ福袋を貢ぎ物として持っていったのだが、その中に入っていた細い台の上に円いチップを300枚積み上げて樹状の形を作るゲームに興じたりしてまったり過ごす。その他、関西の洋菓子好きなら一度は名前を聞いた事があろうムッシュマキノのケーキも持っていったわけだが、最近ここのケーキ、ちょっと味落ちてないですか?

夜、実家に「下流社会」が落ちている事を発見。この手の受け狙い新書は買ってまで読む気がしないが、落ちているのなら読んでも良かろう。これといって新味のない話で、かつデータの羅列の部分が多いので、2時間くらいで読み飛ばす。それはともかく、富が富を産むこの世の中では、偶々自分が持ち合わせたものや置かれた状況のおかげで自分が働いて産みだした価値よりも多くの利益を得る一部の人間と、偶々何も持ち合わせてなかったために自分の働きよりも少ない利益しか得られない大多数の人間が存在する事になるのだけど(例えば、いくらプロ野球選手が日々努力をおこたらないからと言って、年に10億もの年俸を得るほどに、平均的な人と比べて努力が多いかというとそんなことはないわけであって、彼らの高額年俸は社会システムが産みだした虚価値だと見て良いだろうと私は思っている)、そのことに気が付いてしまえば、働いた分よりもわずかな利益しか得られない人たちが働く気を無くすのは一概に責められないのだと思う。ただ、昔は経済が大きく成長していて皆がその分け前に預かれたために、実は働いた分よりもわずかな利益しか得られない人が大部分である事が隠蔽されていただけの事なのだろう。もちろん、こうして多くの人が働く気を無くす事は、全体にとって決して好ましい事ではなくて、なんとかした方が良いとは思うのだけど、それに対してこの本のタイトルのように「下流」という扇情的な言葉をつけると言うのは、ひょっとして著者は本当にはこの問題を解決したいと考えているのではないのかもしれないと微かに思った。知らないけど。

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)