海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

第二のお座敷

来年度から高校生物の教科内容が大幅に変わる。いや、大幅と言う言葉ではちゃんと表現できていないくらい激しく変わるのであるよ。で、これまでほとんど教えられる事のなかった、生態・進化分野の内容が大拡充。という事で、この件に関する集会が今日の午前中開かれて、私はこの変革が大学の教養教育にどう関係するか、という話をすることに。いや、私も大学に勤めて3校目で、その全てで専門として生態学を学ぶのじゃない学生さん向けに教育をしているのだから、普通の人よりはこの方面の経験を多く積んでいると思われるわけだけど、決して教育の事を専門に学んだわけでないのであるよ。だから教育の専門家であるところの高校の先生たちに混じって、こういう集会で一人だけみすぼらしい話だったりずれた話になっちゃうんじゃないかと、講演の依頼をもらったときから微妙に不安を感じながら今日を迎えてしまったわけだ。いや、いくら不安だなあと思っていても、やっぱりその日は来てしまうのね。なかなか世の中は思い通りにならない。

だけど、そういえば前にも某集会で、必ずしも体系的に学んだ事じゃない事柄に関する話をした事があって、その時も大変不安だったけれども、塩コショウかけて話してみたら結構受けたので、その時の記憶を心の支えに準備をしてみる。いや、コース料理なんかでも、こゆい味付けの皿の後にはあっさりした味付けの品にするような事もあるわけで、他の演者が教科の内容についてお話されるのははっきりしているわけだから、私的には内容の事じゃなくって、もちょっと別な事を話すべきかと思ったのだな。で、私としては行動学者の端くれである事もあり、今どきの学生が生態学教育に対してどんな心持ちになっているかについて、私のささやかな観察から推測した事を話してみようと思ったわけだ。

で、こういうエビデンスに欠けた話をするときの説得力の要は、演者がその内容をどのくらい信じているかにある。一方私のような恥ずかしがり屋の人間は自分の考えている事をストレートに表すのが苦手で、そういうのは聞き手からすると、演者が本気で言ってるのかどうかわかりにくく見えるように思われる。なので、自分で無意識に使ってしまう言葉を入念にチェック、回りくどい言い回しや展開を刈り込んでいくために、何度も練習をする。5回以上はフルに喋ってみたぞ。イヤ実は昨日の晩も早めに帰ったのは練習のためでもあったのだな。で、さすがにこのくらい練習すると、もう立板のように言葉が口から流れてくるようになって、滑らかに喋れるということも、あたかも演者が自信満々であるかのように思わせる効果があるから、素敵なわけ。

そしてもう一つ重要なのが、常に聞き手に語りかけるという状態を絶やさない事。その点、スライド送りのために断続的にパソコン画面に目と手をやらなきゃいけない近年の講演形式にはよろしくない面がある。という事で、そういえばiPod touchをスライド送りのリモコンにできるソフトがあることを思い出したわけだけれども、これはiPadKeynoteは操作できたっけ?と調べてみると、どうやら去年のアップデートでできる用になっている様子。ひゃっほうとアップデートを仕掛けてみたらば、私の持ってる初代touchには非対応との事。がっくし。。。これはiPhoneを。。。いや、どうせ間に合わないのであって、もうすっかりやる気になっていたリモコン操作のために、MacBook Airを引っ張り出してくる事に。こんなこともあろうかとディスプレイケーブルを買っておいて良かった。。。で、テストをしてみると、昔はできていた無線LAN直結での操作ができなくなっていて、ベースステーションにtouchとAirをぶら下げる必要がある事が判る。ちょうどいいので、会場の皆さんに洗脳電波を飛ばす事を夢想する。という事で、今日はリュックの中に、Air、touch、AirMacExpressベースステーション、そしてプログラム閲覧用のiPadを詰めた、Apple武装兵と化して出かけるのである。

と、入念な準備のお陰でお座敷はそこそこ上手にこなせたように思われる。自己評価としてはA-くらい。で、他の講演も大変参考になって、大学で講義している同業者の人たちにおかれましては、3年後から入ってくる新入生の持つ生態学の知識が一変する事をしっかり認識しておかないと混乱する事になると思うので、注意された方が良かろうと思う。一方、高校の生物の先生たちにおかれましても、何とぞ新しく教える事になる内容について理解を深めていただきたく。そのための研修とかで私も何かお手伝いできるかもしれないなあと思う。

終了後集会の会場でいろいろ油を売っていたらもう13時。慌ててポスター会場に行くも、お昼ご飯も食べなきゃならないし14時からの口頭発表の事を考えたら30分くらいしかポスター見れないよなあと思っていたらば、そこで別の某学会事務周りで打ち合わせしとかなきゃいけない方にバッタリ会って、喋っていたらば全く時間が無くなる。という事で、今日もポスター見れないのであった。。。とほほ。

夕刻、U丸さんとその一味と昨日の私の奮闘ぶりについて訴えていたら、瀬田まで車で送ってもらえてラッキー。駅で朝の集会参加者と合流して京都駅に移動、ビックカメラ北のslowlyというお店で飲む。なんか高校の先生だと思っていた人から、「ひょっとして奥さんはカメをやられていたのでは?」と言われて、なんで知ってんねん!!と吃驚したらば、前世紀の行動学会で話した事があるらしい。悪い事はできないものである(私は悪い事はしていない)。