海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

犬飼兄弟

1年が巡り、今日は町のこども将棋大会。去年はウチの子は二人とも低学年の部に出場だったけど、今年は上の子は高学年の部へ。と言う事は、去年決勝で敗れた隣の学校の滅法強い一年生(当時)とは当たらないで済む。一方、ぶーちんは同じ学年なので、これからもずっと当たり続けるわけ。ともあれ、この1年それなりに経験を積んで多少なりとも上達してきたウチの子達、去年の大会の様子からすると、予選通過はまず心配ないと思われ、後は決勝トーナメントでよほどくじ運が悪かったりうっかりミスをしなければ、メダルも充分狙えると父親的には計算しているわけよ。

で、今年の会場は去年の公民館の会議室よりグレードアップして町のホールに。広いので、対戦席と保護者席を仕切る余裕があって、つまり私らのいるところからは盤面が見えなくて、子らの仕草とか盤面のどのあたりで駒を運用しているかで情勢を推し量るしかなくて、ハラハラしている親としては大変に精神衛生に悪い。いや盤面が見えていると、今度は1手1手にドキドキしなくちゃいけないから同じなんだけど。とか何とか言ってるうちに大会開始。落ち着け今の棋力なら予選突破は確実なはず、と思おうとしても虚し。高まる血圧と心拍数に、全く親ってのは因果なものでい、と、おっとぶーちんの手が上がっているじゃないか。って事は1勝ね。

イヤやっぱり最初の1勝を挙げると緊張もずいぶん緩むわけで、少し落ち着いて見ていると上の子も手を上げ、あっという間に次の戦いも勝って、無事予選通過。件の去年の優勝者は、1戦目の相手を瞬殺。対戦相手がいなくて不戦勝になっていた不幸なもう1人も血祭りに上げて、1番乗りで予選を通過していたと言う。決勝トーナメントの対戦相手はくじで決まる。将棋の神様、どうか彼とぶーちんを別のブロックに配置してください。

すると祈りが効いたか、発表されたトーナメント表でみると、前年優勝の彼とぶーちんが当たるとしたら決勝戦だ。ついてるぞ!一方上の子のいる高学年の部にもどうやら1人強い子がいるようで、っていうか、この子は前年の高学年の部の優勝者だった!!そうか。そりゃ去年6年じゃなければいるよな!しかし幸運にもこの子も上の子とは違うブロック。うーんこちらも幸運。

決勝トーナメントは10人強で争うので、3回ないし4回勝てば優勝だ。で、上の子もぶーちんもサクサク二勝。ところが次勝てばメダル確定というところで二人とも異様に対局に時間がかかる。打ってる時の表情とか、打ち込み場所をみる限りでは優勢のように思えるのだけど、無限にかかるんじゃないかと思うくらいいつまでたっても終わらない。上の子などあまり時間がかかるので時計まで導入される始末。まあそれでもなんとか勝ってくれてメダル確定。

そして決勝戦。低学年の部も高学年の部も前年の優勝者が順当に勝ち上がっている。高学年の部の子の力はどのくらいかわからないけれど、低学年の部の彼は去年の様子から想像するに、ちょっとまだぶーちんでは太刀打ちできないだろうと思われる。つまりこれは、兄弟が二年かけて同じ相手に負けるのか?うーんこれでは野球マンガとかに出てくる、ライバル高にいる敵の兄弟選手みたいじゃないか。つまり引き立て役。しかし、ぶーちんあきらめるな。勝負は必ずしも棋力通りには決まらないんだ、勝機はあるはず、と送り出す。で、遠めに見ていると、どうやら相居飛車戦に見える。すると、ふっとぶーちんが1番右の駒を二マス前に動かすじゃないか!なに?!雀刺し?!

雀刺しとは、破壊力抜群で、慣れてない相手には大変効果的な戦術だけれども、一方で対策が容易なので少し腕の上がった相手にはなかなか通用しなく、もし通用しても王から1番遠い場所で突破が生じるので、その後の詰めに問題が生じやすい。なので、大会とかで当たる強い相手には使うのを避けるよう私は言っていたわけだが、その雀刺しじゃないか!ぶーちん?!

だけど、その後1筋で猛烈な駒の取り合いが起り、一歩も引かぬぶーちん、どうやら何か1枚を敵陣に成り込ませる事に成功した様子。一方8か9筋でも攻防があって、やはりそちらでも押し込んでいるみたい。何、押してるのか?ひょっとして去年のお兄ちゃんの仇を?兄弟は兄弟でも上杉兄弟の方か?しかし、1筋の攻防の結果、相手も大駒を成り込ませていたようで、右後方から責立てられはじめた。まずい、ぶーちんの王が左前方に移動している、包囲の輪が、、と思ったら、相手の手が上がる。。。負けた。。。で、どんな終局か見に行ったら、惜しかった!あと1手あったら逆に相手を詰ませられていた。終わったぶーちんらに将棋連盟の人が解説するのを聞くと、ぶーちんが1枚合い駒を打って相手の大駒の効きを止めていたら勝ててただろうとの事。1年の鍛練の結果、去年のお兄ちゃんよりは確実に強くなっているとは思っていたけど、そこまでだったとは。ともかくも去年ダントツの優勝者を肝胆寒からしめさせたわけで、偉いぞぶーちん。

一方上の子の決勝戦。実は最近時々真面目にやっても負ける事がちょくちょくあるようになって、棋力は相当上がっている様子。もちろん勝負は水物で、回数を戦っているとミスもするだろうから、どんな結果になるかは始まるまではなんともいえなかったのだけど、ここまで来れば正直優勝できるんじゃないかと思っていたわけ。で、こちらは対局盤の近くまでよれたので盤面が見えて、すると相手は棒銀の様子。で、一旦出てきた銀が引いて行くのが見えて、こんな手数の無駄をする相手なら勝てる、と、ちょっと目を離して再び盤面を見たら、なんと相手の馬が自陣深くに。一方、相手の陣は全く危なげない。あかん、なんでこんな劣勢に?これでは挽回できひんぞ!と内心叫んで、その後5-6手で詰み。後から聞くと手筋を間違えてその隙をキッチリ咎められてもうどうしようもなかったらしい。つまり、回数を戦っているとミスもする、というそういうこと。決勝戦としてはつまらない戦いで残念だったけど、まあ、ミスが出たのがもっと手前じゃなくて良かったよ。

というわけで、結果的にはウチの子二人とも準優勝。二人とも強くなって、きっちり結果を出して(特に上の子は去年準優勝のプレッシャーを感じながら)、なかなかしっかりしてきたと思うよ。親としても大変喜ばしいわけであります。そして緊張から解放されて帰ってきて、晩ご飯は子供たちのリクエストに応じてスシロー。しっかりの上につましい子らでお父さん涙ちょちょぎれます。よーし今日はいつも食べちゃダメって言ってるスシローのデザート解禁だあ。。。つましい。。。