海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

今日も玉すだれ

昨日精神状態が持ち直したので引き続き自主軟禁。歩かなければ大丈夫かなと思って薪を割ってみたらやっぱりちょっと痛い。と言うことで、今日も本を読む。一冊目は(というか既に本は絶版で、著者の息子さんがウェブにテキストを無料公開しているので、一つ目と言ったほうがよいかもしれない)「幻想の英雄」。数日前に亡くなった残留日本兵小野田さんの手記のゴーストライターが書いた、手記執筆の際に触れた小野田さんの人となりの真相についての暴露本。滅法面白い。実は小野田さんは戦争が終わったことを知っていたけど、それなりに適応していた山賊生活をやめる踏ん切りがつかなくて、出てこなかったんじゃないかと言うようなことが書いてある。つまり、決してお国のためにどうこうではなく、自分のために島に篭っていたと言う。それには小野田さんの人情味の薄いパーソナリティが関与していて、ということも言われるのだけれど、そこがエキセントリックなエピソードの積み重ねで語られるところの説得力ある描写に引き込まれる。あと、全体に漂う70年代の空気感がとてもリアルで、そうだった昔の世の雰囲気はどこか屈折してどこか張りつめてどこか哀しげだったよな、と思い出す。そういう意味でも私と同世代の人ならある種の懐かしさも持って読めると思う。

幻想の英雄・全文公開

二冊目は「うな丼の未来 ウナギの持続的利用は可能か」。去年の夏に開かれた同名シンポジウムの内容をまとめた本。このシンポジウムは聞きたかったけど、東京までは行けないよなあと口惜しかったので、こういう本が出版されるのは大変にありがたい。多くの演者が話していて内容には粗密があるけれども、大部分は読みやすく専門家でなくても内容理解には問題がないと思われる。本は二部に分かれていて、前半は現状のまとめ、後半はさまざまなステークホルダーが何をすべきかの提言になっている。で、後半、一番重要な消費者と流通の立場で物を言う人がいないのが残念なところだけれども、そこは「ウナギをハレの日の食べ物に」というところで尽きているから良いのかもしれない。

うな丼の未来 ウナギの持続的利用は可能か

うな丼の未来 ウナギの持続的利用は可能か