海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

支援者

スケジュール調整のために必要な情報を得るために研究室において来た書類を取りに行く。折角来たのでこちらで仕事をするつもりだったのだけれども、あまりの騒音に激しく後悔する。こりゃちょっと無理。いや、これはもちろん泣き言であるから、耳からの情報入力をカットする事にして原稿のリバイスに取り組む。この原稿、私的には、きっちりした実験計画と十分なデータに首尾一貫した結果、と三点揃い踏みでよくできた話だと思っているのだけれども、査読者の中に必ず「結果が信じられない」という人がいて悲しい経緯を辿っている。おそらく、結論がこれまで言われてた事と逆向きである事が影響しているのであろう。というのは、クモでは目立つ体色で餌を誘引しているとこれまで言われているところ、色彩変異を持つ私のギンメッキでは目立たない体色を持つ個体の方が餌をよく食べているのであるよ。で、ショウジョウバエに目立つ個体と目立たない個体の両方を提示して選ばせても、目立たない個体の方に良く向かうわけだが、これが信じてもらえない。アジア的混沌の中で暮らす私的には、対象とするクモの種類が違うのだから、結果が違うのは至極当然に思えるのだけど、斉一性を重んじる文化の人にはわかってもらえないのであろうか。っていうか、生物のやる事なんだからおんなじになるはずないやん。

でも、あんまり信じてもらえないものだから、もう自分でも自分の結果が間違ってるんじゃないかと、お前が犯人だろうと責め続けられてつい虚偽の自白をしてしまう無実の人みたいな気持ちになってきた今日この頃だ。こんな経緯を辿っているので、リバイスもどうも気が重くって滞りがちなのだけど、ともかくも修正に必要な論文を漁っていると、「ショウジョウバエは縦に細長い物体には誘引されるけれども、小さな点に見えるものには回避行動を取る」というものを見つける。で、ショウジョウバエは目の解像度がそれほど良くなくて、今回の実験で使った距離だとギンメッキくらいの小さな対象は、個眼一つがカバーする視野内に収まってしまう。つまりショウジョウバエにとってはギンメッキは小さな点にしか見えないと言う。そしたら、そりゃ目立つ事で視認性の高いクモはそうでないクモに比べてハエに避けられるわけや!やっぱり私の結果は合ってるじゃん!!八百万の神様バンザイ!みたいな。ということで、弁護士の接見を許されて正気を取り戻したごとくに高揚したのだけれど、よく考えたら、投稿前にちゃんと勉強してればこんなことにもならなくて済んだわけで、やっぱり真面目にやらんといけませんね。