海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

二階堂ふみ

大学の裏山に2kmほどの山道があって、少人数授業でそこをぶらぶら歩いて目に入るものを観察する、ということをちょくちょくやっている。こういう行き当たりばったり系だと何が起こるかわからなくっていろいろ楽しいのだが、過去には冬虫夏草に出くわしたりテンと遭遇したり、そこそこまあ面白いことが起こっている。で、今日もそういう授業にした。いや、授業計画的にどこかで一回中休み的な回を設ける必要があって、今日とか涼しくて爽やかだからいいかなと思ったわけだな。で、取り付きで「じゃあ皆さん周りを観察しながらぶらぶら歩きましょう」と言って、学生たちの後ろに着いたら、先頭がもうどんどん先に行くわけです。ちっとも周りを見ていない。っていうか、世の人の中には、周囲を観察して状況に合わせて自分の行動を調整していく、という発想を一ミリも持たない人って結構いるのね。人間関係を観察して空気を読める人はままいるけど、それ以外の環境に無関心な人ってほんと多い。どうしたもんかね、と、思いながら、私は後方で倒木割ったりしながら後ろの方の学生だけでも興味をなんとか引こうと努力。山道は狭いので一列に並ぶことしかできず、10人くらいの学生でももう全体を把握することは難しいのね。とかなんとか言ってるとどんどん先頭が離れていくので、さすがにこれはまずいと思って大声出して先頭に待っていてもらう。で、合流して、じゃあまた歩きましょう、と進み始めたところで先頭がなぜかざわつき足を止めるわけ。なんだろう?と思ったら、ヒミズの死体が落ちていた。わー、君たちこういうの見たことないでしょ。今日はいいもの見たねー。と盛り上がってみせる。そしてヒミズを手にとって、「ほれみんなも触ってみな」と差し出してみると、まあ当然ながらみなさん引くわけ。でも、中にはおずおずと手を出してくる人がいるから、指の先で触らせて、その後手のひらに乗せることに成功。一人がやると、他の人も後に続くのね。ちゅうわけで、ヒミズの毛の感触など堪能してもらう。学生には死体持って帰りませんか?と煽ってみたけど、結局脇に埋められてしまった。しかし、これがなかったら、今日の授業は、ほとんど何の成果もないことになってたなあ。こわ。