海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

乱交の生物学

「乱交の生物学 精子競争と性的葛藤の進化史」ISBN4783502293、ティム・バークヘッド著、を読んだ。メスが複数のオスと交尾する事から生じる、父性を巡るオスの競争とメスの父性制御について、特に精子が放出されてから後の話を行動生態学的に解説した本。


どうも私はこの手の話が苦手。この場合の性的葛藤って言うのは利害の対立のことなんだけど、プレイヤー達が何が利害なのかわかっていることを前提としているのがまず気持ち悪い。それから、対立の結果どちらかの側が勝利を収めていると解釈する場合が多いのも私の趣味に合わん。


やっぱり繁殖行動を研究するなら、配偶相手を決めるためのコミュニケーションを対象にする方が面白そうだ。円網性のクモなんてオスがメスに近寄るときに餌と間違われないように、オスしかしないやりかたで糸を震わせながら恐る恐るアプローチするんですぜ旦那。「オイラはオスだよ、食わないでよ」って。


つまりオスでもあり餌でもあると言う二重性の中から、オスという要素を切りだせるからこそ繁殖が成功するのだ、なんて思うのだけど、やっぱりこういう物の見方は流行りませんかね。