海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

扇型

長崎で採ってきたゴミグモから採るべきデータとして最後に残ったのが体と隠れ帯の反射特性。で、今日は測定用の紫外線光源から目を守るゴーグルをつけ、部屋を真っ暗にするので作業時に点けるヘッドライトを装着した。まるでドク・ブラウン。計測には数時間かかったのだけど、終わって明かりをつけてみたら1/3ほどのゴミグモが網を壊していた。このクモは昼行性で、夜になると網を壊してまた翌朝張り直すとされているから、それ自体はなるほど不思議じゃない。光が無くなるのをキューにして網壊し行動が起こるのだな。

不思議なのは、どの個体も完全に網を壊しきらずに一部が扇状に残っている事。で、残っているのは必ず網の上部で、クモはこしきに普通に座っている。実は同じ事は野外で雨が降りはじめた頃にもしばしば見られていて、つまり、このクモはまず網の下部から壊しはじめるわけだけど、どこかでいったん網壊し行動を止めて、しばらくそのままの状態でいるように見えるのだ。これが本当だとして、何のためにそういう事をするのかはよくわからないけど、雨が降って網の粘着性が下がったり、夜になって網にひっつきにくい蛾が増えたりしても、網に衝突した餌は下の方に落ちてくるわけで、こしきの上方に網を残して待っていれば、餌が転がり込んでくる事が期待されるからかもしれない、と今日フト思いついてみた。でもだとしたら、そもそも網を壊す必要ないじゃないかとも思うので、この思いつきは全然当たっていないかもしれない。それはともかく、どうもゴミグモの網壊し行動には何かの生物学的ロジックが隠されているような気がして興味深い。