海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

ロスト・イン・国分寺

今日も7時半からクモ採り。昨日サンプル瓶を使い切ったということは、すなわち予定した最大数を採っているわけで、今日は採れなくたって一向に構わなく、もし採れればそれはそれでデータの厚みが出てきて幸せという、もうこんなありがたい状態はない。で、昨日はサンプル瓶を節約する為に、取りにくいところにいるとかで何匹も見逃しており、彼女らは今日も同じ場所にいるので採る。すると、またもや瓶の枯渇を心配しなくてはならない状態に。結局二日で101個体採り終わった午前11時。守衛さんに挨拶した帰り際、よく知る学生と同僚氏と遭遇。何度も繰り返して流暢にしゃべれるようになった、なぜ私がここにいるのかの説明を行う。知り合いに会うのは恥ずかしい反面嬉しくもあるな。

で、ホテルに戻って、水から上がったばかりの半魚人かというばかりに汗でずぶ濡れなので、とりあえずシャワーを浴びてさっぱり。昼ご飯を食べつつ、検鏡して、昨日採った個体も合わせてクモの体色定量化のために写真を撮るのだが、大量なので夕方までかかる。終わって、今からじゃ何かまとまったことをするには足らず、でもまだ明るくて晩御飯でもないので、駅ビルの上の喫茶店に上がって武蔵野に広がる住宅の海を眺めてみたり、手持ち無沙汰。

そうこうしているうちに、晩御飯を食べてもおかしくない時間になった。今日は馴染みの蕎麦屋さんに向かう。挨拶せぬまま引っ越したのが心残りだったので、その旨伝えに行くのだ。店に入るとお客は私だけ。市場がまだ閉まっているらしく、そのせいなのかもしれない。でもこれは私にとってはありがたい状況なので、優しい優しい女将さんに引っ越しの報告などいろいろお話しさせてもらう。上の子がまだ小さい頃、転んで歯を折りかけて慌てて連れて行った歯医者の帰り道に、何か柔らかいものを食べさせようと飛び込んだ、初めての来店のことを思い出す。私的には東京(多摩だけど)で一番美味しい蕎麦を堪能して、大将・女将さんに、また機会があったら来ますと言って店を出る。

しかし、これまでの三回とは違って、今回は誰にも連絡せずに来たので、晩御飯とかずっと一人で食べている。よく散歩していたので路地の裏々まで知っている、まさに縄張りの街はいつもと変わらない見た目なのに、ホントは家もない家族もいない。旅先で一人なのはなんともないけど、自分の街のつもりのところで一人なのは妙な気持ちになる。