海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

聖林

という事で、ワールドプレミア。今日も5時半起きでクモの世話をしてから行く。世話に三時間、不測の事態のために余計に30分みていて、7時に研究室に着けば10時半ごろには出発。14時には着くという計算だ。ところが研究室に着いてみると、あんまり網を張っていなくて、実際の世話は1時間半しかかからなかった。ありがたくのんびりコーヒー入れて飲む時間までいただき、予定通り出発。二日連続の新幹線で東へ。六本木に着いてスーツに着替え、話をくれた放送作家氏と落ち合ってスタバで打ち合わせ(ワールドプレミアは外のイベントなので落ち着いて話をする場所が無いらしい)。スパイダーマンソニーの稼ぎ頭コンテンツという事で、今回はイベントに絡めてソニータブレットを宣伝するのだ、とか、生中継は二つラインがあってもう一つに乃木坂46が出るのだとか、色々教わりだいぶんと全容が見えてくる。この時点で、ワールドプレミアというのがいったいどういうイベントであるかを私はこれまでちゃんとわかってなかった事を認識する。それはともかく、昨日までのメールでの打ち合わせ時に、コメントする時用にクモの図版とかありませんか?と言われていて、本とか著作権的な事が良くわからなかったので、自分のクモ写真をiPadに入れて持ってきてたのだけど、こんなところで大敵iPadなんか出せまへんわ。

放送作家氏は学者の人の話を聞くのが大好きでいろんな人に番組に出てもらったりしているとのこと、なるほど確かに、学者をタダのにぎやかしのコマと考える良くあるマスコミの人とは違って、こちらを人として扱ってくれる感じが嬉しい。いや、学者の側としてはメディアに出るのには評判と言う点でのリスクが伴うものなのであって、相手が信頼できるかどうかというのは結構大事なポイントだったりするのですよ。さらに打ち合わせは続き、京都好きとの事で盛り上がったり、共通の知人がいる事が判明してビックリしたり。いや、内容的な打ち合わせと言うより、これは信頼感醸成の手続きだと言うことですよ。

その後会場に移動してディレクターさんはじめスタッフや出演の方々とご挨拶。今日の気候は大変涼しく、夏用とは言えスーツを着ているこちらにしては大変ありがたい。関西みたいに30度近くになってたら結構辛くなるよなと心配していたのも杞憂だった。ビバ関東の夏の天気。で、舞台上には巨大な円網がしつらえられているけど、専門家として言わせてもらえば、あの網は不健康なクモが張った網のようなんだよね。少しダークな雰囲気を与えるので、デザイン的にはそれで正解なんだろうけどね。

会場は屋外なので、放送機材はテントの下に設置されていて、出番までその後ろの方でモニターを眺めたり一緒に出演するスパイダーマニアの方とお話しながら過ごす。スタッフ間の音声ラインに難があったらしく、ディレクターさんが「音がちゃいちーよ」とか言うのを耳に挟んでしまって、ホントにこんな事言うんだ!とか、放送開始10分ほど前だけどテロップを作ってるよ!とか、開始直後にコンソール機材がダウンして再起動とかで大騒ぎになったのだけどWindowsで動いてるよ!とか、とにかく知らない世界の事で、見聞きする事の一つ一つが新鮮。

そうこうしているウチに出番。会場にしつらえられたタブレット展示ブースに敷かれたミニレッドカーペット上でお話。いくつかのやり取りはあらかじめ準備していたものだけど、喋りの途中でADさんから次々と指示が出て、あれに即座に対応するのは一つの技量だなあと感じ入る。私なんて動揺しちゃってアタフタするばかり。っていうか、また緊張すると早口になるのは、講義のときもちょくちょく指摘される私の不具合なのだけど、今回もやってしまったよ。反省。10分ほどだったろうか、いい加減かつとりとめもない事を話して、これは同業者には見せられないや、あ、でもよかったネット中継だから録画とかされないし、と思っていたらば、映像はアーカイブ化されて後からも見れるらしい。帰ってきてから一応見ようとはしたけど、自分が出てきた瞬間に恥ずかしさに耐えきれずに消してしまう。

出番が終わってからは、ゆっくりとワールドプレミアの様子を眺める。ほうほうこれが乃木坂という人たちかたくさんいるなあ、とか思っていると、リムジンが止って監督キャストプロデューサーさんが降りてくる。私もレッドカーペット横にならぶメディア人のすぐ後ろから見る。FOXの人たちの後ろだった。いやしかし、ゾンビランドのあの人が、ソーシャルネットワークのあの人が、ノッティングヒルの恋人のあの人が、(500)日のサマーのあの人が、走り出せば抱きつける位置にいるなんて、まるで現実ではないみたい。千円ちょっとのお金を握りしめて毎週映画館に通っていた中高生の頃の私には、年を取ってこんな経験ができるようになるなんて想像は全くできなかったよ。人生って面白いよね。

という事で、興奮しながら帰り道、途中品川で折角東京に来ているのなら飲みましょうと言ってくれたMぺさんと落ち合って、ワールドプレミアの何たるかについて語る。いやとても大規模なイベントで、個々の参加者は全貌を把握せぬまま動いているように私には思えるけど(少なくとも私はそうだった)、それでも全体は大きな破綻なく進んで行くのには感心した、というようなことを喋った。で、終電で帰宅。あーホントに楽しかった。呼んでいただいてありがとうございました。