海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

行かず後家グモ

いよいよ手持ちのオスもいなくなったので、ささやかな庭に放し飼いにしていたメスたちを竹林に返してきた。もうきっと竹林でもオスは見つからないので、この娘たちは愛を知らぬまま一生を終えることになるのであろう。すまんかった。正直、こんなに早くオスがいなくなるなんて知らんかったんだよ。メスは11月半ばくらいまでなんやかやと見つかるからその頃までがシーズンだと決めていたけど、どうも新しく成体が現れるのは9月中旬までで、それ以降は残った個体が損耗していくのを眺めているだけだったんだな。という事で今年のデータ取りも終わり。全部で435ペアの交尾を仕掛けてそのうち144個体が最後まで行ったわけ。とは言え、このクモが交尾の観察がしにくいかと言うとそうではなくて、オスがその気になってくれさえすればほぼ100%交尾にまで至る。female choiceなんてどこの星の話?って種だな。なのにこんなに交尾率が低いのは、私がオスの採集をケチって、できるだけ手持ちの個体を使おうとして、そしたら若すぎたり年食いすぎたりして上手く行かないことが多かったからだな。オスがしょぼくれた後も結構長い時間生きていて、かつ個体によって寿命がかなりばらつくので、そのへんの見極めがなかなか難しかったのであるよ。しかし、自宅庭で交尾を観察するのってなかなかうまい方法で、このラインで何年か繁殖行動の研究が出来そうだと言う事がわかった。精密天秤を自宅に置く事ができれば尚良しなのだけど。