海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

知らんけど

「くじ引き民主主義: 政治にイノヴェーションを起こす」を読んだ。何かを決めなきゃいけないトピックが生じた時に、有権者の属性分布を反映するように配慮したくじ引きを行って選んだメンバーに専門家が詳しい情報を提供した上でそのメンバーに議論してもらって物事を進めていこうという方法について、なぜそれが必要か、どんな事例が既にあるのか、問題点は何か、これが議会制度をどう補完していくのか、と言うことを書いた本。私も、自分が選挙というものをごく身近で経験するようになって、これが民主主義社会の代表を選ぶ上で深刻な欠陥を抱えていることを実感しているところで、「こんな方法で代表選ぶより、くじ引きの方がよっぽどマシな議員を選べるじゃないか」と思っていたので、興味を持って読んだ。が、こちらの期待しているほどラジカルな事が書かれているわけじゃなくて、まあなんつうか、それ知ってる、って話だった。何かを決める時に有権者からランダムに選んだ人を集めて検討してもらうっていう方法はもう既にポピュラーで、ウチの町ですらその手法を取り入れつつあるくらいでさ。勉強になったけどね。いや、私が選挙はもうダメだ、っていうか選挙は最初っからダメだったんだが、とにかくそう思うのはなぜかというと、特に日本の選挙の場合、あのピントのぼけた公職選挙法に拘束されて行う活動を、正常な知能を持った人間が行うのはかなり難しいと思うからだな。結果として、何かパーソナリティがまともでないか判断力に欠陥のある人が議員のほとんどを占めることになる(まともな人は普通はとてもじゃないがあんな選挙活動に耐えられないと思う)。本来、議会というのは有権者の代わりになっていろいろなことを決めなきゃいけないのであって、それはくじ引き民主主義が求めるように、社会を構成するいろいろな意見をくみ取る機能が求められる。だから、特定の特徴を持つという点で、偏りのある議員で構成される議会なんてよろしくないと思うわけだ。ところが、選挙と言う制度が、その偏りのある議員を選ぶフィルターとして機能することになっている。お題目的には、選挙は優秀な議員を選ぶフィルターとして機能するはずだったわけだけど、現実にはそうはなってないよね。ただ偏っているだけじゃなくて、能力的にも疑問符のつく人が、特に地方議会だと多いわけ。いや、どう見ても平均的な市民より低い人が多いですよ私の身の回りだと。そりゃ議会不信にもつながるってば。なので、私なんかもっとラジカルで、選挙で選ぶ議会なんてやめにして、議員は全部くじで選んじゃえばいいんだ、って10%くらい本気で思うわけよね。政治的正統性については、くじで選んだ後で信任投票したらいいんだし。今の有権者でしょ。誰も落選させないよ。くじで選ばれた人は大変だけど、そこは報酬をむちゃ高くして割が合うようにしてあげて、かつ年金もつけてあげる、と。人生狂わせることになるからそこが問題だと考えるのなら、代表制を少し損なうことになるかもしれないけど拒否権をつければ。