海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

帰り道に

今日は、隣の大学の環境教育施設で行われる米作りイベントの稲刈りの日。で、スタッフであるところのヨメサンが出かけるので、私が子供の面倒を見る。午前中、しばらくウチで遊んで上の子が「僕も田んぼ行く」というので、子供二人抱えて出かけてみるも、着いてみると人出の多さに怖じ気づいた人見知りの上の子が「やっぱり帰る」と言う。しかたがないと帰り道、ノコギリクワガタが歩いているのを発見。とりあえずヨメサンに「男の子にでも見せてやれば喜ぶんじゃない」と渡してくる。で、昼ご飯を食べに帰ってきたヨメサンに「反応はどうよ」と聞いたら、「誰かが持って帰るって言ってあっという間に連れ去られた。クワガタにかわいそうな事したかもしれない」と。確かに、今どきの環境教育であれば、イベントの間に採った生き物も観察したら放してやるように子供たちに教えるべきかもしれない。


午後は下の子をヨメサンに任せて上の子と駅ビルに。紀伊国屋で絵本をさんざん立ち読みし、パフェを食べ、屋上で柵によじ登って下を走る車を眺めた帰り道。無印良品に立ちよって子供を遊ばせておくコーナーでおもちゃをいらっていたのである。そこにはウチの子より少し年上の男の子が一人いて「トムとジェリー」の流しっぱなしDVDの映るテレビをボーッとした顔で眺めていた(どうでもいいが、この手の遊ばせコーナーにテレビを置くのはあんまり良くない事ではないかと思う)。で、ウチの子はテレビの前にあったおもちゃが欲しいのだけど、知らない子がすぐ前にいるので、怖じ気づいて取りに行けない。ウチの子は、すこぶるつきの内弁慶なのである。で、同様に内弁慶の父親としては、そういう所が好もしいと思う反面、このままだと苦労するよなあとも思っていて、今日は後者の気持ちが勝ったのである。

ということで「ちょうだいって言えばきっともらえるよ。あの子テレビに夢中でおもちゃ要らんみたいやし。行ってみ」とたき付けてみた。しばらく抵抗するも勇気を出して取りに行く上の子。しかし、やはり怖いと見えて結局何も言わずにおもちゃを取るという挙に出た。すると相手はピューと飛んできて、凄い剣幕で「今使ってる」といってウチの子からおもちゃを取り上げて行った。でも使ってないし。

それはともかく、私は「うわー、これは最悪の展開。こりゃ泣くぞー」と思ったのだが、なんのウチの子は、気丈に「あの子が遊び終わったら、貸してもらおうね」と言う。あー、我が子も成長したのであるなあ、と父親としては涙の一つも浮かべるべきかと思案したのもつかの間、それまでどこにいたのか全く気が付かなかった相手の母親とおぼしき女性がつかつかと近寄ってきて「またかあんたは、もう」と彼の頭を軽くはたいた。で、ウチの子である。それをきっかけに突然火のついたように店中に響き渡る大声で泣き叫び始めた。やっぱり泣きそうな気持ちだったんだな。で、それをきっかけに全然違うよその子まで泣き出して阿鼻叫喚の店内。「すみませーん」って子供を抱きかかえて逃げ帰ってきたのである。なんかあの瞬間、パチンて音が聞こえたような気がしたのだけど、あれは頭をはたいたときの音だったのか、それともウチの子の緊張がキレた音だったのか。