- 作者: 杉山幸丸
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 新書
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それはともかく、開巻こんなことが書いてある。
名古屋という大都会の中の小さな大学で、人文学系の学生を相手に授業をして気が付いた。私も文系の大学で生物学を教えているのだけど、ここに書かれていることとほとんど同じ事を感じている。来週から、後期の講義が始まるけど、この文章を最初の時間で受講生に読ませてもいいかもしれないとちょっと思った。
第一に理数科嫌い。難しいものだとの先入観を持っている。高校までの教育がそう仕向けてしまったのだろう。
第二に、大半の学生が「生物は暗記物だ」と思っている。
第三に、生物への関心といえばせいぜい自宅で飼っているイヌやネコぐらいにしかない。あとは釣り好きのブラックバスくらいだろう。
こうした傾向があって、学生たちは、黒板に書いたりモニターテレビに映した要点だけは、きまじめにノートに書き写すが、講義によって与えられた素材を自分の身に引き寄せて考えようとしない。これも、高校までの教育がそうさせてしまったのだろう。どんな学問分野だってそうだろうが、最低限の知識は必要にしても、暗記物などありえないはずだ。与えられた素材を組み合わせながら、なぜだろうと疑問を持ち、どうしたらよいのだろうと、自分の事として答えを考え出す事こそ必要なのだ。