海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

読む人と見る人

ウォッチメン」を読んだ。この春やっていた映画が、原作をほぼそのまま映画化しており、内容の密度の極めて濃い原作を見事に映像化した、という趣旨の映画評が多かったのだけれども、それが的を得ている事がわかった。それにしてもほぼ同じ内容のものに映画とコミックで触れてみて、この2つのメディアには重要な特性の違いがあるのだな、と思う。コミックは12章に分かれていて、私は一章を終える度に、その内容を反すうするために一度本を置き、しばらく時間を置いてから再び取りかかる、と言う事をしたので、すべて読み終わるのに3日間かかったわけだ。私は3日だったけれども、人によってはもっと短かったり長くなる人もいるだろう。一方映画の場合はすべての人が等しく二時間強でこのお話を体験するわけで、受け手の側が自分の時間をコントロールできるかできないかで、作品から受ける印象は随分変わるんだろうと言う事だ。私の場合は、映画よりさらにどんよりと重たいものをコミックから受け取ったわけ。さらに、「こんな重たいものもう読まない」と言う気持ちと「いやしかし先が気になる」という気持ちの葛藤が、新しい章に入る度に起こって、それでも能動的に「読む」という選択をする自分をして、その好奇心のありように気づかされると言う、こういうのも受動的なメディアである映画からは得られないものであるよ。