海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

壊れやすきもの

昨日見た「リアル・スティール」の事だけれども、これは人間同士のボクシングがすたれて、ロボットの殴り合いを興業にするようになった未来の話。ごみ捨て場で偶然見つけた旧式ロボットを改造して使うようになったら、これがあれよあれよと勝ち上がって、最後は世界チャンプに挑戦する、という。これに人間がボクシングをやっていた時代のボクサーで今はダメ男のヒュー・ジャックマンの復活の話と、親子の交流がからんで、感動的な作品に仕上げられていて、まあ私も乗せられて盛り上がっていたわけだ。けど、ロボット同士の対戦であるからファイトにかかる制約も少なくて、負けた側は腕をもがれてオイル垂れ流して倒れたりバラバラに引き裂かれたりして、つまり死んじゃう事が多いわけだな(劇中では、そのような残酷性が興行的成功の理由みたいな設定になっていた)。しかし考えてみると、つまり、という事は、今回けなげに戦った旧式ロボットも、そのうちというかごく近い将来鉄くずになることが予見されるわけで、そんな儚い存在に主人公の再生と親子の絆を託してしまって良いんだろうか?と不安な気持ちになるのであるよ。座りが悪いなあと思っていると、本作の原作はリチャード・マシスンだとの事。なるほど、彼の原作なら、愛と感動より怪奇と皮肉だわなと納得(読んだわけじゃないけど)。ちょっと久しぶりにマシスンの本を読みたくなった。