昨日見たテレビは、フランスのドキュメンタリーで、ヒトラーが権力を掌握するまでの過程を色復元した当時の映像を使って描いたものだ。ちょうど「ヒトラー演説」という本を読んでいたので、その内容が共振して自分的に大変なことになった。この本は、デジタル化されたヒトラーの150万後に及ぶ演説から頻出語の遷移を明らかにすることで、歴史の局面の変化を綴っていくもので、滅法面白いのだが、これに実際の演説シーンをふんだんに含むドキュメンタリーが乗ってきたわけだから。で、いろいろ思うことがあって、ミュンヘンのビアホールの頃の演説はある種の娯楽ととして始まったのではないか?という事。様々な見栄を切った写真を撮らせてイメージ戦略に使うところなど、まるで俳優のそれであって、つまりヒトラーってタレント政治家だったのじゃないかと。どこぞの市長と被ってくるじゃないか。それから、ポーランド侵攻の少し前に新聞社の偉いさんを集めて開戦することを伝えていたところも、まるでどこぞの首相が毎夜メディアの人たちと会食を重ねているのと被ってくる。何かもう計画されてるんじゃないだろうな?そして、政権を取ってからは頻繁に国民投票を行っているのが興味深い。もう独裁体制を作っているのだから、国民投票には民意を図る意味はないのであって、むしろ国民の糾合、いや扇動の方策として投票を使っていたわけだ。なるほどどこぞの国でもポピュリスト政治家が住民投票をやりたがるはずである。あと、ドキュメンタリーの方で、ヒトラーの苛烈な性格の裏に第一次大戦時のPTSDの影響があるかもとほのめかしていて、フーンそんな可能性もあるのかなあと思ったり。それはともかく、この本は現代日本に生きる市民必読の書だと思う。これを繰り返されるのはごめんだからね。
- 作者: 高田博行
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/06/24
- メディア: 新書
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今日は広義の研究時間が3時間。授業一コマだけだったから。