海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

I said so

「未来への大分岐」を読んだ。資本主義が終わった後にどうしたらいいかについて、気鋭の若手斎藤幸平がマイケル・ハートマルクス・ガブリエル、ポール・メイソンの3人と対談する本。まあ資本主義システムの持続不可能性については、生態学徒たる私には昔から自明だったわけだが、最近はこの認識がだいぶん広がってきていて嬉しい限りだ。で、この本で一番印象に残ったのは、最初に出てくるマイケル・ハートが「コモン」の民主的管理が重要、と訴えているところ。コモンというのは社会的に共有すべき富のことで、自然とか土地とかそういうのを私有してはいかんという。それ、今自分が関わっている駅西開発の話と大きく重なってるわけよ。開発に反対すると「私有財産に口を出すのか?」と激しく攻撃されて違和感を感じるのね。そりゃ確かに今の制度だと土地って私有が認められてるけど、あれって使って無くなるものでなし、本質的には生きてる間一時的に借りてるだけだよね。それが土地の本質だよね。だから、その土地の性質を不可逆的に変えてしまうようなことは一存ですべきじゃないんだよね、と、私は本気で思っていて、その前提でモノを言うから、激烈な反応を喰らうのだな。でも、皆さん真面目に考えてみればわかるんじゃないの?自分で買ったおにぎりをいつでも好きな時に食べられるって言うのとは、本質的に違うことなんだよ。で、マルクス・ガブリエルとのパートは、新実在論の説明が面白かった。不勉強なので、この本を読むまでまったく知らなかったのだけど、そうかこう言う論理で相対主義を乗り越えようとしているのか、そうだな相対主義を乗り越えることには大きなニーズがあるんだな、と感じ入った。ともあれ、この本は全体のどこを取っても刺激的な論考が散りばめられていて、読んでていろんなことをインスパイアされた。っていうか、オレ間違ってないって思えて精神衛生によろしかった。皆さんも読むよろし。

 

資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐 (集英社新書)

資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐 (集英社新書)