海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

お金のある世界

今日は久しぶりの一般向け講演。某企業さんが取引先を集めて開く新年会の第1部の教養講演みたいなものの講師に呼ばれて、動物行動学の面白い話をしてくれ、といわれたのであるよ。珍しいことにクモの話をしろ、じゃないのですよ。さらに、そういう会だから、聴衆もおそらく生き物好きとは限らないわけで、私的にはあまり経験したことのないパターン。そもそも、そういう話を求めるのに私を名指ししてくる筋道がよくわからない。「いきもののりくつ」の効果だろうか?はたまた行動学会会長だからだろうか?と状況がすっきり見渡せないまま本番を迎えたのね。また会場がホテル阪急インターナショナルの宴会場なんですよ。なんか、よくある生き物系講演会とは違うゴージャスさがあって、これさすがの私もよれた長袖Tシャツで行くのは憚られ、ジャケットとネクタイなんかつけちゃったりして、でも靴はちゃんとしたの持ってないのでトレッキングシューズでという奇妙ないでたちでお出かけ。で、会場ついてみると企業っぽい人たちがたくさん。若い人中心だったのでまだ気楽だったのだけど、日頃生きてる世界と違うので気圧されるわあ。で、控室に通されて、広いなここ、と落ち着かない気持ちで出番を待っていると、主催企業の社長さんが挨拶にやってくる。おお、これはいかにもの社長さん風で、きっと創業二世とかだぞ?と思って後で調べてみるとあたりだった。それはともかく、今回はお呼び頂いてありがとうございます。で、どうして私を呼んでくれたのですか?と尋ねたところ、「いきもののりくつ」を読んで面白かったから、だとのこと。そうか本書いておくもんだな。じゃあまあ、いろんな動物の性行動の話を準備してきたけど、それでそんなに外れてないな、と安心する。と、時間が来たので、講演。生き物に縁のない聴衆が主体ということで、いつもの早口テンションでパワーで押すトークじゃなくて、ゆっくり鷹揚に喋るやりかたでやってみた。が、ところどころに挟み込んだオレ的受けポイントがことごとく滑る。あああ、前提知識のない人たち向けにかなりかみ砕いて経済活動のメタファーも入れたりしてわかりやすい話の構成にしたのだけど、ひょっとして目の前の100人くらいの人たちはもっと真面目に講演会に臨んでいたのか?つまり、もっと難しげな話にして中身が分からなくても、っていうか中身がわからないからこそ、ありがたみを感じられるような方が良かったのかも、、、まあいいや。1時間の話を終えて懇親会。社長さんの横の席に座ってお話する。で、今回本の販売もさせてもらって、ミシマ社から30冊送られてきたうち8冊を買ってもらえた。もう少し行けばなあと思ってたので、まあ私の不徳のいたすところである。で、買ってくれた人にサインをして、まあ知っている人が一人もいない中での宴会なので酒が進んで、ヘロヘロになった。まあとはいえ、面白い経験だった。何事もやったことのないことは楽しい。