海の底には何がある

これは日記だ。ブログじゃない。

脇役として

センス・オブ・ワンダー」を読んだ。レイチェル・カーソンのを森田さんが新訳したものだ。で、知らなかったのだけど、本文自体は短いものなのだな。一冊には足らない。そこで森田さんのエッセイが加えられているのであった。レイチェル・カーソンのも森田さんのも、子どもと一緒に身近な生き物を見て一緒に驚き不思議を感じることについての文章になっている。私は行動学かつ裏庭の生態学の人なので、ここに書かれているワンダーについては身近なもので、というか、人生の柱になっているようなところがあるのだけど、加えて子どもを育てた経験もあるわけで、子どもが生き物に触れる時の様子もまた良く知っている。この本は、今やすっかり忘れてしまっている、その時の気持ちを思い出させてくれた一冊となった。忘れるのは子どもも同じで、ウチの子のうち上の子はまだしもぶーちんは今やまったく生き物に対する興味を持っていない。それについて、レイチェルカーソンの文には(森田さんも書いているけど)小さい時の子どもが、その生き物に対する感受性を失わないためには「生きる喜びと興奮、不思議を一緒に再発見していってくれる、少なくとも一人の大人の助けが必要」とある。してみると、ウチは私が必ずしも上手くやれなかったということかもしれない。下の子にはどうしても手薄になる。それはともかく、森田さん自身はそれまで生き物にまったく触れることのない生活だったところ、お子さんのおかげで生き物に向かう目を持つようになったそうである。昔から思っているが、小さな子を育てる親は、みながその人なりに生物学者になるのであるなあ。さて、森田さんはお子さんと見つけた生き物の写真を時々メッセで私にも共有してくれているのだけど、エッセイ部分には、あ、これあの時に見せてもらったやつの話だ、というところがポツポツ出てきて、その時のことを思い出したり。自分の関った話がこうして本に書かれているのを読むのは良いものですね。